2019年5月27日 更新

アドラー心理学の基本前提と子育てに活かす方法!理論への批判も?

子育てにも役立つと言われているアドラー心理学。劣等感やトラウマについての考え方に特徴がありますが、一部では心理学としてはおかしい、むしろ宗教のようだという批判の声もあります。そこで今回はアドラー心理学について、性格診断なども含めてご紹介していきます。

目次

アドラー心理学とは

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アドラー心理学については、アドラー心理学の研究者である岸見一郎氏の「嫌われる勇気」という著作により、心理学を研究している人だけでなく一般的にも広く知られることとなりました。

しかし実際アドラー心理学とはどのようなものなのか詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。子育てに役立つ考え方だという人もいれば、アドラー心理学を批判している人もいます。

そこで今回は、アドラー心理学について詳しく説明していきます。これを機会に心理学についてのその他の記事をチェックしてみると良いかもしれません。

アルフレッド・アドラー

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アドラー心理学の生みの親、アルフレッド・アドラーとはどのような人なのでしょうか。まずはアドラーの経歴について簡単に説明しましょう。

アドラーは1870年にオーストリアで生まれました。フロイトやユングと同様、現代のパーソナリティ理論や心理療法を確立した精神学者であり、1911年まではフロイトの共同研究者でもありました。

しかし1911年にフロイトと決別し、その後個人心理学を創始します。6人兄弟の次男として生まれたアドラーはウイーン大学卒業後、医師となりますが、このころにフロイトの研究グループに参加します。

しかしやがてフロイトと意見が分かれることが多くなり、1911年に数人の仲間たちと共に、個人心理学の前身である自由精神分析協会を設立し、やがてウィーン教育研究所治療教育部門の教授にも就任しています。

「嫌われる勇気」が火付け役

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アドラー心理学がここまで有名になったのは、「嫌わられる勇気」という一冊の本が発端と言ってもいいでしょう。これは日本のアドラー心理学の第一人者である岸見一郎氏の著書です。

168万部を超えるベストセラーともなった本書は、その斬新な本のタイトルから多くの人が内容に興味を持ったことだと思います。しかしこのタイトルが意味することは、別に人から嫌われても良いから何でもやってみたら良い、ということとは少し違います。
Head Skull Blow - Free photo on Pixabay (292950)

アドラー心理学では、誰かが誰かの事を嫌いだと思うのは、嫌われている側の問題ではなく、嫌いだと思っている側の問題であるという考え方です。

対人関係で起こる問題に関する悩みは、人から嫌われることを怖れないという勇気をもつことで解決できるのだということが書かれています。

劣等感から優越感を目指して行動しているという考え方

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アドラーは「くる病」という持病がありました。この経験からアドラーは、客観的または主観的に何か劣等性を持っている人、つまり身体的に不自由があったり病気の人は、その劣等性を克服するために努力して補償(補う)または過剰に補償するのだという理論を発見しました。

つまり、劣等感を持っている人は、その劣等感を克服するために、時に過剰な努力するという考え方です。そして、人は常に優越感を得ようとする(理想を求める)ものの、その理想には到達できないため、劣等感を感じるものだという考え方に到達しました。

人々が幸せになるためには共同体感覚が大切という考え方

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アドラー心理学では、共同体感覚を持つことが大切だと考えています。では、共同体感覚とはどういうものでしょうか。人は他者と結びついて生きています。つまり一人では生きていけいないということです。

自分ではない他者に貢献し、他者に貢献しているという感覚をもつことで自分に価値があると実感することが共同体感覚です。

人は他人との関わりの中でしか生きる喜びや幸福感を得ることができません。共同体感覚とは、自分自身の幸せだけでなく他者の幸せのためにも行動できることを言います。
Youth Active Jump - Free photo on Pixabay (292976)

しかしすべての人に共同体感覚が備わっているものではありません。共同体感覚が欠如していると、人を蹴落としてでも自分だけが幸せになろうとするのです。

アドラーはこのような共同体感覚は、意識して育成しないと育たないと考えました。自分の行動は自分のためだけでなく、相手のためにもなるだろうか、と考えて選択していくことが必要なのです。

教育改革が重要だという考え方

Change New Beginning Renewal - Free image on Pixabay (293224)

アドラーは戦前の権威主義的な教育に反対でした。そこで、カール・フルトミューラーとともに教育改革に取り組みました。

アドラーはまず児童相談所をつくり、教師や親を対象としたカウンセリングを行います。そして教師に子どもの発達や教育心理についてのトレーニングを受けさせることで教師を再教育していきました。

これらの活動の中でアドラーは教師に対して、トレーニングの結果、家庭の中での親から子への有害な影響を打ち消せるようになることを期待していました。アドラーのこの取り組みは成功し、アドラー心理学はウィーンからヨーロッパに広がっていったのです。

宗教ではない

Knowledge Book Library - Free photo on Pixabay (293226)

アドラー心理学は宗教と混同されがちな面があります。しかしアドラー心理学は宗教ではありません。確かに他者への貢献や他者の幸せのためにという共同体感覚についての考え方は、やや宗教的であり科学的な思想とは思われない部分もあります。

しかしアドラー心理学ではアドラーを神格化もしていませんし、神の存在から教育や子育てを語っているものでもありません。むしろ教育、育児に対して科学的な治療の枠組みの中で扱われている心理学なのです。

5つの基本前提

Birthday Number Five - Free photo on Pixabay (293878)

アドラー心理学は5つの基本前提をもとに理論をたてています。基本前提とは、理論を展開するために作った仮定、つまり「このように考えます」というところから始めるための土台とも言えることです。

アドラー心理学では、個人の主体性、目的論、全体論、社会統合論、仮想論という5つの前提を土台として、1人の人間の人生を全体的にとらえて理論を作っています。それぞれの理論について具体的に説明していきましょう。

個人の主体性

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