2019年10月2日 更新

つくば母子殺人事件とは?事件発生の経緯や犯人についても

1994年、母親と2人の子供が殺害され遺体が遺棄されるという凄惨な事件が起きました。犯人は誰だったのか、目的は何だったのか、単独犯なのか複数犯なのか、残された俵結びの謎とは…。当時の報道の問題点も含めて解説していきます。

目次

野本は当初、10月29日から妻子の姿が見えなくなったと警察に捜索願を提出していました。捜査開始時は妻子が行方不明になってしまった可哀想な夫という立場にありましたし、マスコミもそのように報道していました。しかし捜査が進むにつれて、その立場はどんどん崩れていきます。

警察は当初から、周囲の人間への聞き込みで野本に疑いの目を向けていました。しかし噂だけで逮捕に踏み切ったわけではありません。では逮捕に至った決め手はなんなのでしょうか。

右の手の甲の傷

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被害者の夫で父親である野本は、事情聴取の対象でした。聴取していた捜査官は、野本の手の甲に小さな傷があることに気が付きます。傷がついた理由を尋ねると、野本は飼い犬に噛まれた傷であると答えました。

しかし捜査員はこの嘘を見抜いていました。周囲の人間からの聞き取りで家庭内不和があるという情報があったため、この傷は殺害時にできた傷ではないかと考えたようです。この傷は、捜査の目を野本に向けるには十分な材料となりました。

Nシステム

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野本逮捕の決定的な証拠となったのは「Nシステム」に基づく、野本の足取りでした。これにより野本は犯行を自供することになります。

「Nシステム」とは警察が管理する走行している車のナンバープレートを読み取るシステムで、その情報は一定期間保管されています。

警察は野本が遺体を運ぶときに使用した自家用車のナンバープレートをNシステムで追跡し、運河に遺棄するまでの足取りをつかんだのです。この証拠が逮捕に結びつきました。

つくば母子殺人事件の謎

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犯人である野本が逮捕されました。殺害の動機は家族内トラブルと明らかになり、殺害方法も特定されています。一見、この殺人事件は解決されたかに見えました。

しかし、いくつかの不審な点が存在しています。この「つくば母子殺人事件」において、次に紹介する謎は犯人が逮捕され、裁判で判決が出された現在も未解決のままです。

ではどのような点が謎とされているのか、そしてその謎はどのような可能性を秘めているのか、解説していきます。

長男殺害の犯行時刻について

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一つ目の謎は、長男・優作ちゃんの殺害時刻の矛盾です。野本の供述によると、野本が優作ちゃんを殺害したのは10月29日午前6時から8時の間ということでした。

遺体の司法解剖では、優作ちゃんの胃の内容物の中にチョコレートが残されていました。チョコレートは消化が早く、およそ1時間で消化されます。これらのことから優作ちゃんは殺害される1時間前にチョコレートを摂取していたと考えられます。

しかし妻・映子さんの知人の証言によると、殺人が起こる前日の10月28日の夜19時半頃、優作ちゃんがチョコレートをい食べているところを目撃しているのです。早朝にチョコレートを食べた可能性がないとは言いませんが、少し不自然さを感じます。

遺体が包まれていた袋は「俵結び」で結ばれていた

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2つ目の謎は、遺体の入っていたビニール袋の封をしているロープの結び方です。殺害された3人の遺体はそれぞれ違う袋に入れられていたのですが、そのうち2人は縦結びと言われる一般的な結び方であったのに、1人は俵結びという特殊な結び方だったのです。

俵結びとは昔の農家で使われていた結び方で、1994年当時50歳以上の農家の人でなければ日常的に使用することはなかったようです。実際、野本が実況見分で遺体の梱包を再現したときには、3人分すべて縦結びでした。

つくば母子殺人事件には共犯者がいる可能性

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この「つくば母子殺人事件」は、野本の単独犯ということになっています。しかし前項で紹介した通り、不可解な謎が残ったままです。これらの謎は、この事件に共犯者がいる可能性をはらんでいます。

まず長男・優作ちゃんの殺害時刻ですが、もし共犯者がいるとすれば野本と妻・映子さんが夫婦喧嘩をしている間、優作ちゃんの世話をしていたとすればチョコレートを食べさせることもあるかもしれません。1歳児が自らチョコレートの包装を破ってチョコレートを食べるとは考えづらいですが、大人が世話をしていたなら簡単なことでしょう。

また死体を遺棄する際も、野本と共犯者が手分けして遺体を梱包したとしたら結び方が違うのは当たり前のことです。これらのことから、一部ではこの事件には共犯者がいる可能性があると考えられています。

被害者・野本映子さんについて

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残念ながらこの「つくば母子殺人事件」の最初の被害者となってしまった妻・野本映子さんは、野本と結婚してわずか2年のいわゆる新妻でした。年齢は野本の2歳年上の当時31歳です。

ここからはこの未来ある若い母親が、殺害されるまでどのような人生を歩んできたのか解説していきます。映子さんの人生は、野本に出会う前も決して平坦なものではありませんでした。31歳という年齢にしては、大変な苦労をされた女性だったようです。

高校卒業後に別の男性と結婚し2人の子供を儲ける

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実は映子さん、野本との結婚は再婚でした。1度目は高校卒業後、蕎麦屋の次男と結婚し、性別は不明ですが子供を2人もうけています。

夫が次男だったためか実家の蕎麦屋を継ぐのではなく、茨城県土浦市に新しく蕎麦屋を開業しました。そこで夫婦で店をやりながら暮らしていたようです。

若くして飲食店の経営をするのは、簡単なことではなかったでしょう。映子さんは20歳そこそこで子供二人を抱えながら、蕎麦屋を切り盛りしていました。

経営難に陥り離婚

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夫婦で営んでいた蕎麦屋でしたが、客の入りは思わしくなく経営難に陥ります。おそらく努力はなさったのでしょうが、改善することは難しかったようです。

お店が上手くいかなくなると若い夫婦の関係も、徐々に悪くなっていきました。最終的に夫婦関係は破たんし、映子さんはこの男性と離婚することになります。親権を争ったのかはわかりませんが、子供は2人とも元旦那さんの方で養育することなり、映子さんは単身家を出たのです。

つくばメディカルセンターで夫と出会う

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