2019年3月13日 更新

「甘んじて」の意味と正しい使い方は?日大のコメントが問題視された理由

今回は、ニュースを騒がせた日大の「甘んじて」コメントを取り上げて、「甘んじて」という言葉の本当の意味を考察しながら、類語なども挙げてこの言葉の正しい使い方を検証していきます。日大のコメントがどうして問題視されたのか、その理由が見えてくるはずです。

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この日大の「甘んじて」コメント騒動によって、「甘んじて」がいろいろなところで話題の種になる、つまりネタ化するかと思われるくらいにあちこちで取り上げられました。このネタ化が、「甘んじて」という言葉の本当の意味をみなさんが知るためのひとつのきっかけになればいいのですが、その一方で心配なこともあります。

前後の言葉や文脈で「甘んじて」の意味が変化するということは、これまでに述べてきたとおりですが、日大のコメントだけがひとり歩きすると日大が使ったニュアンスで多くの人が「甘んじて」を使いはじめると、少し困ったことになってしまいます。やはり言葉は正しく使ってほしいものです。

日大が使うべきだった表現と類似表現

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ここでは、日大が「甘んじて」を使った表現の代わりに使うべきだった類似の表現を紹介します。

真摯にお受けします

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自分の非を認めて反省したり謝罪するときに、一番よく使われる表現が「真摯にお受けします」や「真摯に受け止めます」です。この「真摯」という言葉は「しんし」と読みますが、意味は、「熱心に、とてもまじめに、うそいつわりのない心でまじめに」です。

「関西学院大学から示された厳しいご批判を真摯に受け入れます」といったのだったら、「関西学院大学から示された厳しいご批判をうそいつわりのない心でまじめに受け入れます」という意味になって、だれもが納得できたはずです。

この「真摯に」は、前向きで熱心な気もちを表す言葉で、よく「新しい仕事に真摯に取り組みます」といったような使い方をされることがあります。

誠実に取り組む

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日大にとって大切だったことは、関学大の抗議に対して誠実さを見せることでした。したがって、「誠実に取り組む」という言葉を使ってもよかったかもしれません。

「関西学院大学から示された厳しいご批判やご指摘に誠実に取り組みます」といえば、まったく違和感がなく、だれも文句をいう人はいなかったと考えられます。あるいは、「関西学院大学から示された厳しいご批判に誠実に対処します」などでも誠実に向き合っていることがわかったのではないでしょうか。

重く受け止める

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批判や抗議などを受けて、それに対して反省や謝罪をするときに使われる言葉に、「重く受け止める」があります。決して軽んじているのではない、ということを伝える表現です。

「関西学院大学から示された厳しいご批判は重く受け止めます」といえば、関学大から出された批判に対して真面目に取り組もうとしているニュアンスが伝わってきます。

もう1つの類似表現として、「真剣に取り組みます」も挙げることができます。日大は、関学大に対して自分たちがしたことをどれほど重く受け止め、どれほど真剣に対処しようとしているのかを示す必要があったわけですから、「真剣に」という言葉を使うという方法もあったのではないでしょうか。

日大に対しての印象の変化

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公的なコメントにおける言葉づかいは、マスメディアを介して一瞬にして大勢の人たちの目や耳に入っていくため、いろいろなところで大きな反響が生じます。中でも一番大きな反響が返ってくるのは、使った当人ではないでしょうか。正しい言葉づかいをしていれば問題はないのですが、日大のような微妙な誤用をしてしまうと、後々、大変なことになります。

以下では、日大の「甘んじて」コメント騒動で、その日大の世間においての印象がどのように変わったのかについて考察します。

言葉遣いを間違えただけで失う信頼

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小さな子どもならともかくも、大の大人が、それも公的な立場で多くの人に向けて発信する言葉や文字には、責任が伴います。例えば、マスメディアを介しての報道のほかにも、今みなさんが見ておられるこのようなサイト、そして書店に並んでいる書籍などが持つ影響力はあなどれません。

だからこそ、そこで使う文字や言葉や表現、文章など、その信ぴょう性も含めて、発信者はそれらすべてに責任を持つ必要があります。昔のことわざに、「文は人なり」があります。「文章にはそれを書いた人の思想や人柄がにじみでている。文章を見ればその人となりがわかるというものだ」といった意味のことわざですが、これは、書いた文章だけでなくて、話した言葉にもあてはまるのではないでしょうか。

たかが言葉づかい、されど言葉づかい。言葉づかいはその人への印象や信頼や好感度を左右します。正しく使いたいものですね。

世間の反応は?

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では、世間は、日大の「甘んじて」コメントに対してどのように反応したのでしょう。上述したようにツイッターや一部のSNSで炎上しただけでなく、個人のブログなどでも取りあげられていて、日大の「甘んじて」の使い方に関する解説が行われていました。

そのほとんどが「甘んじての意味、知らないんじゃないの?」というものでしたが、中には、紙ベースの辞書を開いて調べ、「満足する」という意味もあることを指摘しているものもありました。

ネットで何もかもが一瞬にして検索できるようになり、まちがいもうそも通用しなくなった昨今、発信する情報にはくれぐれも細心の注意を払わなければならないということでしょう。

教育機関としての日大の信頼

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日大は日本でも有数の、それも超がつくマンモス大学です。しかも中学校からの一貫教育を行っている教育機関です。そういう立場にあるものは日本語の使い方に対して常日頃から神経を使っているはずなのですが…。実は、ツイッターやSNSなどで指摘されているのはそこなのです。つまり、みなさん、「教育機関に従事している人間が言葉を正しく使わないでどうするの?」といった、半ば唖然とした思いにとらわれていたようです。

おそらくそういったコメントの根底にあるのは「教育機関に勤めている人間ならば言葉の正しい意味くらい把握しておくべきだ」といったものではなく、「教育機関に勤めている人間は、常日頃から日本語の使い方に気をつけて、発信する言葉や文章に責任をもつべきだ」といった思いだと推測されます。

どんな立場にあろうとも、情報を発信する前には、個々の言葉の意味をきちんと調べて、正しい日本語を使って、誤解を生まないようにしなければならないということですね。

正しく言葉を使えないデメリット

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正しく言葉を使えないと、いろいろなところにいろいろな影響が出てきます。以下では、正しく言葉を使えない場合に生じるデメリットについて説明します。

炎上する可能性

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