2019年9月3日 更新

世界最強部隊の一つスペツナズ!気になる装備や訓練の中身とは

グリーンベレー、シールズと並び世界最強と称されるロシアの特殊部隊スペツナズ。その戦力はいかなる物なのでしょうか?ここではスペツナズの歴史、訓練の詳細、ヘルメットやナイフなどの装備品、射撃や格闘技などの技術について解説していきます。

最強の特殊任務部隊

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スペツナズはロシア連邦軍に属する特殊任務部隊のひとつで、ソ連時代の1950年に創設されました。スペツナズは特定の部隊を指す言葉ではなく、連邦保安庁や内務省にも同名の部隊が多数存在します。

一般によく知られているのは、ロシア連邦軍参謀本部情報総局(通称GRU)傘下のスペツナズで、戦時下における敵地の偵察、破壊工作、要人暗殺等を主任務としています。
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創設時の隊員数はおよそ5,000人。現在では15,000~17,000人もの隊員がいると言われています。全員が戦闘部隊に属しているわけではなく、平時には私服でスパイ活動を行う隊員もいます。

ここではスペツナズ創設の歴史、隊員の装備、最強と言われる理由、訓練の詳細について解説していきます。その他の軍隊に関する記事は、こちらから。

ロシアとスペツナズ

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スペツナズは1950年10月24日、ソ連国防相のアレクサンドル・ヴァシレフスキーソ元帥と参謀総長セルゲイ・シュテメンコ大将によって設立されました。当初は中隊規模の戦力でしたが、後に将校訓練校や常設軍が設立され、10個もの旅団を有する大部隊になりました。

その後は1979年~1989年のアフガニスタン紛争で活躍。1991年のソ連崩壊では、暴動鎮圧のため多数の部隊が各地に派遣されました。

ロシア連邦となってからもスペツナズは特殊部隊の要として活躍し、後のチェチェン戦争ではロシア軍内で最も規律のある部隊として評価されました。

ロシア連合軍の特殊部隊

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GRU傘下のスペツナズは9個旅団で、旅団1個につき3個支隊の規模があります。作戦遂行時は1個支隊を戦線に投入し、残り2個支隊を休養と訓練に当て、半年期間でローテーションを繰り返します。

スペツナズの階級は大きく上級将校(佐官)、下級将校(尉官)、下士官に分けられ、昇進のためには参謀本部アカデミーを卒業する必要があります。

先述の通り、ロシア連邦軍にはいくつものスペツナズが存在します。ここではスペツナズの名が付いた代表的な特殊部隊を紹介していきます。

特殊作戦軍

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ロシア特殊作戦軍は参謀本部麾下の部隊で、連邦軍スペツナズでは最高位に位置します。隊員数は2000人で、2013年に創設されました。

初陣は2014年のクリミア危機・ウクライナ東部紛争で、巡航ミサイルの攻撃目標選定、敵勢力要人の暗殺、強襲作戦などの任務に参加しました。

標準装備はAK-74アサルトライフルで、グロックシリーズなどの拳銃を多用することもあります。近年では欧米のFASTヘルメットに影響を受け、LSHZ1+という新型戦闘ヘルメットも開発されました。

第45独立親衛特殊任務連隊

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第45独立親衛特殊任務連隊はロシア空挺軍の特殊部隊です。パラシュート降下や格闘技に秀で、平和のためのパートナーシップ『PfP』(欧州諸国や旧ソ連諸国の共同体)で開催された特殊部隊競技会でも好成績を残しています。

その起源は東西冷戦時に設立された独立部隊にあるとされ、当時はレイドヴィキ(襲撃隊)、ラズヴェトチキ(斥候部隊)、ヴィソトニキ(対テロ・暗殺部隊)とも呼ばれていました。

ソ連崩壊後は対テロ作戦にも力を入れ、2008年の南オセチア戦争に参加しました。「親衛」の名を冠しているものの、これは名誉的な称号に過ぎず、平時は独立部隊として運用されることが多いようです。

ザーパド大隊

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ザーパド大隊はチェチェン共和国に駐屯するロシア連邦軍の特殊部隊で、ザーパドはロシア語で「西」を意味します。隊員の総数は3144人(2005年時)。グロズヌイ市を拠点とし、チェチェン西部で主に活動しています。

ザーパド大隊の前身は、1990年初頭にチェチェン共和国軍人サイード・マゴメド・カキエフが創設した反独立派(親ロシア派)の武装グループにあるとされています。チェチェン紛争で活躍した経緯から親ロシア派の軍人、警官が多数参加し、2003年にザーパド大隊が発足されました。

ザーパド大隊はこの戦いで独立派の野戦指揮官を打倒し、グルジアでの諜報活動に携わっていたとも言われます。

ヴィンペル隊

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ヴィンペル隊はロシア連邦保安庁の特殊部隊で、テロ活動阻止の他、重要施設の警備や組織犯罪対応などの任務を行っています。ソ連時代はKGBに属し、偵察や破壊工作任務を担当していました。

その母体はゼニート部隊及びカスカード部隊(ソ連KGB独立教育センター)にあるとされ、1981年8月にKGB第1総局の局長ユーリー・ドロズドフ少将によって創設されました。

ソ連崩壊後の混乱で事実上の降格処分(軍人から警察官になる)を受け、部隊名を「ヴェガ」に改められるも、1995年に連邦保安庁へ移管され、部隊名もヴィンペルに戻りました。現在のヴィンペル部隊はV局(テロ対策局の特殊任務センター)とも呼ばれています。

ロシア連邦麻薬流通監督庁

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ロシア麻薬流通監督庁は、2016年まで存在した麻薬取締り機関です。その母体はロシア連邦税務警察庁(FSNP)にあるとされ、重要な役職は元KCBやFSBの職員で占められています。

階級はFSNPの伝統を継承しているため、警察大将や警察少佐など、独特の呼称になっているのが特徴です。発足されたのはFSNP廃止後の2003年で、2016年に内務省の麻薬統制総局に改編されました。

麻薬流通監督庁の拠点や支部はロシア全域に分布し、2004年には4万人もの職員がいたと言われています。

その他のスペツナズ

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上記の他にも、ロシア軍には様々なスペツナズが存在します。

<海軍スペツナズ>
ロシア潜水夫コマンドとも称される海軍特殊部隊。水中銃を装備し、特殊潜航艇と呼ばれる隠密性の高い小型潜水艦を所持しています。

<ヴォストーク大隊>
ロシア連邦軍第42自動車化狙撃師団の特殊部隊。ヴォストークはロシア語で「東」を意味し、ザーパド(西)大隊と同じくチェチェン共和国の出身者で構成されています。

<OMON>
ロシア内務省の特殊部隊。武装犯罪集団の取り締まり、暴動鎮圧を主任務としています。

<SOBR>
武装犯罪集団の武器、弾薬、爆発物、麻薬の押収並びに拡散防止を任務とする部隊。隊員は将校のみで構成され、OMONよりも上位に位置します。

<独立作戦任務師団>
ジェルジンスキー師団とも呼ばれる、内務機関及び国家保安機関の筆頭部隊。ソ連時代は政府庁舎の警備を担当していました。

<セーヴェル大隊・ユーク大隊>
ロシア内務省北カフカーズ国内軍管区に所属する特殊部隊。セーヴェル大隊の総員は700人、ユーク大隊は500人で、隊員は親ロシア派や恩赦を受けた元独立派のチェチェン人で構成されています。

<アルファ部隊>
ヴィンペル部隊と共に、ロシア連邦保安庁の中核を成す特殊部隊。フルフェイスのチタン製ヘルメットを装着していることから、ヘビーフェイスの異名でも知られます。

<ザスローン部隊>
ロシア対外情報庁(SVR)の特殊部隊。数ある特殊部隊の中で最も機密性が高く、一説には暗殺や破壊工作の任務に就いているとも言われます。

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