2019年7月14日 更新

反出生主義とは?正しいと考える人の理由や反論も

反出生主義は仏教の教えに通じる部分があるとされていて、正しいと考える人もいれば反論する人もいます。反出生主義を肯定する有名人や名言についてご紹介します。現代では少子化が進んでいて結婚を選択しない人も多くいるので反出生主義が広まる可能性があります。

目次

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デイヴィッド・ベネターは南アフリカケープタウン大学の哲学科長です。子どもを産まない選択をすることはある種の我慢が必要であるが生まれてくる人間のことを考えれば子どもは我慢するべきだと主張しています。

ベネターは人間だけでなく生物も全滅した方が良いと言及しました。ただしすぐに人類絶滅を目指すのは生まれてきた人たちに苦痛が伴うので段階的に人口を減らすことが良いとしています。

最終的に絶滅するよう、ゆるやかに絶滅していけば問題ないとして地球上の人口はゼロであることを理想としました。

反出生主義を正しいと考える人の理由【社会問題の観点】

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反出生主義を極論だと否定する人もいますが、社会問題の観点から見ていくと納得できる主張があります。人口過剰は飢餓や枯渇性資源の残余量に大きく影響を与えていて、人口が減れば今生きている人は苦しい思いをせずに済むでしょう。

反出生主義を正しいと考える人の理由を社会問題の観点から見ていきましょう。正しいと考える人の主張を見ていくと必ずしも極論ではなく筋が通っていることがわかります。

人口過剰は人間だけでなく環境や他の生物にも悪影響であるため解決しなくてはいけない問題です。

人口過剰

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現在も人口は増え続けていて、2038年には人口が90億人を突破すると言われています。人口過剰になると食糧不足や水不足、雇用不足などが生じて結果的に貧困がもたらされます。

増えすぎた人口が生きるために開発を行うので環境破壊や資源枯渇の問題も生じるでしょう。中国では一人っ子政策で急速に少子高齢化が進みましたが中東やアフリカでは人口増加が続いています。

世界では貧しい国ほど出生率が高く、人口増加が貧困と不平等を生んでいると見られています。

飢餓や貧困層問題

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飢餓の影響を受けるのは高齢者や子ども、貧困層です。食料を得られない状況が続くと餓死の可能性や体力が低下することによる疫病の増加の可能性が高まります。

また、農村で飢餓が発生すると食糧を求めて都市部に人口が移動し暴動が起きることが考えられます。治安の悪化と食料を得るために土地などが売り払われることで経済格差が拡大してしまうのです。

かつては自然災害が原因でたびたび飢饉に見舞われていましたが、人口過剰になると食糧不足が原因で飢饉が発生します。

枯渇性資源

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枯渇性資源とは天然資源のことで、人間が使うものとしては石油・石炭・天然ガス・金属などが挙げられます。枯渇性資源は使えば使うほど資源量は減少していきます。

増加速度が遅いため人間が資源の増加速度より早く使い切ってしまえば枯渇することになるのです。枯渇性資源の残余量を時間で表した可採年数というものがありますが、2015年時点で石油の可採年数は51年しかありません。

資源が埋蔵されている場所の数が不確実なため予測には大きな幅があるものの着実に資源が減っていることは間違いないでしょう。

反出生主義を正しいと考える人の理由【心理の観点】

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社会問題の観点だけでなく心理の観点からも反出生主義を正しいと考えられる理由があります。子どもが両親や環境を選択できないことにより起きる不幸や子供の同意なしに世界に生み出される不条理さは大きな理由の一つでしょう。

調査では子どもがいない夫婦の方が生活や結婚に対しての満足度が高いという調査結果が出ています。反出生主義を正しいと考える人の理由を心理の観点から詳しく見ていきます。

死という害悪に向かう生そのものが害悪である

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死という害悪に向かう生そのものが害悪であることが理由です。生きている人は死を恐れますが、生まれてこなければ死を恐れることはなかったはずです。

死を克服するためにも出産はやめるべきだと考えているのが反出生主義です。出産をやめれば子どもが生まれないので自分のことを第一に考えて生活できますし子どもに振り回されることがありません。

生まれずに済んだ子どもは死を恐れずに人生の苦痛を感じなくてよくなります。反出生主義では自分自身も生まれるかもしれなかった子どもも救うことができるのです。

人生は嫌な事が多い

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人生は嫌なことがたくさんあります。カリム・アケルマは、人生の中で起きうる最良のことは最悪なことを相殺しないため、出生を控えるべきだとしています。

最悪なこととは怪我や病気、死による苦しみです。病気になって長期間もだえ苦しむくらいなら最初から生まれてこない方が良かったと反出生主義者は考えるのです。

確かに人生は良いことばかりではなく嫌なことの方が多いくらいでしょう。それでも生まれてきたかったと思うのか、生まれてこなければ良かったと思うかは人それぞれです。

子どもは両親や環境を選択できない

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子どもは両親や環境を選択できません。毒親の元に生まれてしまえば間違いなく不幸な人生が待っています。毒親とは子どもに悪影響を及ぼして、子どもが厄介と感じるような親を指します。

毒親には過干渉タイプ、ネグレクトタイプ、虐待タイプ、精神障害タイプの4種類があります。いずれのタイプも子どもにとって良くない影響を与えるのは確実でしょう。

育児に向かない親の元に生まれたら苦痛に耐えながら人生を過ごすことになります。親が毒親か良い親かは生まれてみないとわからないのであらかじめ生まれないでいる方が良いのです。

子どもの同意なしに世界に生み出される不条理

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出産は子どもに同意を得て行うことはできませんが、もし確認できるとしたら子どもは痛みと死を避けるために生まれてくることを望んでいないかもしれないとする考えがあります。

本人の同意なしに行われる出産は、他人の人生に影響を与える道徳的な権利が人間にはないことに通じています。生まれた後に生まないで欲しかったと言われてもどうすることもできません。

事前に確認がとれないくらいなら生まなければ子どもが不条理さを感じる可能性はなくなります。

子どもを育てることが必ずしも親の幸せとは限らない

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