2019年7月14日 更新

反出生主義とは?正しいと考える人の理由や反論も

反出生主義は仏教の教えに通じる部分があるとされていて、正しいと考える人もいれば反論する人もいます。反出生主義を肯定する有名人や名言についてご紹介します。現代では少子化が進んでいて結婚を選択しない人も多くいるので反出生主義が広まる可能性があります。

目次

Baby Child Cute - Free photo on Pixabay (479716)

子どもを育てることが必ずしも親の幸せとは限りません。ヨーロッパやアメリカでは、子どもを持つ親は子どもがいない家庭と比較すると幸福のレベルが低く結婚満足度や精神状態も悪いことが報告されています。

例えば子どもが殺人を犯せば一気に人生は狂います。自分が生んだ子どものせいで奪われた命があるということに耐えられなくなるでしょう。

どう育つかもわからない子どもを産むよりも、産まない選択をした方が不幸にならなくて済むという考え方があるのです。人生は子育て以外でも幸せを感じられます。

生活満足度・結婚満足度を低下させるという研究結果もある

Bride Groom Matrimony - Free photo on Pixabay (479717)

イギリスのオープン大学で行われた調査では子どものいない夫婦の方が夫婦関係に対する満足度が高く関係を保つことにも努めていることがわかりました。

子どものいる女性は人生で最も大切な人に自分を挙げるのに対し、子どものいる男性は自分のパートナーを挙げるという違いは子どもがいることで生じるギャップだと言えます。

また子どもを持つ親の方が人生で大きな浮き沈みを経験していて、喜びが多い分ストレスや負の感情も多いことが判明しています。

反出生主義を裏付ける事件

Judge Hammer Auction - Free photo on Pixabay (479719)

反出生主義を裏付けるような事件も起きています。事情は様々ですが子どもが親を訴えているのです。多くの場合は訴えを退けられていますが、訴えが認められた事例もあります。

これからも親を訴える子どもは出続けるでしょう。子どもを産んだのなら幸せにするのが親の義務ですが、守られていないことが多々あることがわかります。

反出生主義を裏付ける事件について詳しく見ていきます。

ジョゼフ・ゼペダが父親を訴える

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1963年にアメリカイリノイ州で息子が父親を訴える裁判が起こされました。ジョゼフ・ゼペダは父親が自分の母親である愛人と浮気をしたことで生まれた子です。

父親は母親と結婚する気がなく父親の嫡出子として生まれることはありえませんでした。非嫡出子として生まれたことで被った被害が大きいとしてゼペダは賠償を訴えたのです。

裁判所は原告の主張に理解を示しましたが訴えは退けました。社会に大きな影響を与えかねない判断は裁判所ではなく国家の政策に委ねられるべきだと結論づけたためです。ゼペダの主張を認めてしまうと同じような状況の子どもが親を相手に裁判を起こすことが増えるのを懸念したのでしょう。

イギリスの7歳の娘から訴えられた母親

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2014年にイギリスで7歳の娘の代理人が訴訟を提起しています。母親が娘を妊娠したのは17歳の時でしたが、妊娠中にも関わらず毎日大量の酒を飲んでいました。

そのため娘は胎児性アルコール症候群を伴って生まれて発達障害や記憶障害に苦しむことになりました。母親が当時飲んでいた量は1日に缶ビール8本とウォッカ半ボトルという尋常ではない量でした。

娘は一生涯医療ケアを受けなければならないため、医療ケアの補償を求めて母親を訴えたのです。しかし妊娠中の飲酒は違法とまでは言えないとして原告側の主張は退けられました。

親を訴えたニューヨークのホームレス

Poor Black Poverty - Free photo on Pixabay (479722)

2013年にニューヨークで暮らすホームレスの男性が両親を訴えています。子どもの頃に父親から虐待を受けていて両親に愛された経験がない男性は12歳で家を飛び出しました。

その後は不安定な生活を送り刑務所に服役したこともあります。ホームレスになったのは両親のせいだとして訴訟を起こしましたが、少し変わった要求をしています。

孫の代まで家族が働ける場所を確保するためにフランチャイズの店を二店舗経営するように要求したのです。また、両親が話し合いに応じればすぐに訴えを取り下げるとしました。

初めて肉親と完全な絶縁を果たしたグレゴリー・キンズリー

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アルコール依存症の父親とホームレス状態の母親の元に生まれたグレゴリー・キンズリーは車の中に住み、転校を繰り返す子供時代を送りました。

10歳の時に里親に引き取られて家族からの愛情を生まれて初めて味わい幸せな生活を送れるようになりましたが、12歳の時に実の母親がグレゴリーを取り戻そうとします。

グレゴリーは母親から親権を奪い里親の養子になるために訴えを起こしました。訴えは認められショーン・ラスという新しい名前で人生を歩むことになったのです。

反出生主義は仏教の教えにも通ずるという意見

Buddha Meditation Buddhism - Free photo on Pixabay (479724)

反出生主義は仏教の教えにも通ずるという意見があります。仏教ではこの世が苦しみで溢れているとしているので、主張が共通していると言えます。

仏教の教えに通ずる意見について詳しく見ていきましょう。

この世は苦しみで満ち溢れている

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仏教では、人の一生は苦であり輪廻の中で永遠に苦しむことになるとしています。苦しみから抜け出すためには解脱しなければいけません。

人の世の苦しみは原因と結果に基づいているので、解脱するためには苦しみとなる原因を取り除く必要があります。真理の正しい理解や洞察がいるため、仏教では出家や修行の実践を推奨しています。

救われるためには神の力に頼るのではなく個人の実践次第と説いていて苦悩の原因となる執着から解放されるために実践を行わなければならないのです。

不邪婬戒

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不邪婬戒とは仏教において信者が守るべきとされる五戒の一つで不道徳な性行為を禁じた戒めのことです。不倫や浮気など道徳に背くようなことをしてはいけないとするのが仏教の教えです。

五戒には他に「不殺生戒」「不偸盗戒」「不妄語戒」「不飲酒戒」があります。不殺生戒は生き物を故意に殺してはいけないこと、不偸盗戒は他人のものを盗んではいけないこと、不妄語戒は嘘をついてはいけないこと、不飲酒戒は酒類を飲んではいけないことです。

反出生主義と仏教の相違点

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